正信偈比較表
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本文の内容についての問答はまた別のページに書きます(ただいま準備中)。
正信偈本文の検討
本文は漢文体である。書き下し文は宗祖直筆教行信証に宗祖自身が書き込んだ加点をもとに決定する。訳文はこれまでに数限りなく作成されているので、筆者が今更新たに作成することはしない。
意味的なクオリティが十分であり、七五調にととのえられた訳文として以下の2つの訳との比較表を作成した。
また、著作権上の問題から掲載を控えたが、真宗大谷派教学研究所による『解読教行信証』の訳も可能ならば参照されたい。
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原文 | 書き下し | 金子大栄 | 和訳正信偈 |
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帰命無量寿如来 | 無量寿如来に帰命し、 | 寿命(いのち)と光かぎりなき | ひかりといのちかぎりなき |
南無不可思議光 | 不可思議光に南無したてまつる。 | 仏(ほとけ)に帰命したてまつる | 阿弥陀ほとけを仰がなん |
法蔵菩薩因位時 | 法蔵菩薩の因位の時、 | 法蔵菩薩のその昔 | 法蔵比丘のいにしえに |
在世自在王仏所 | 世自在王仏の所(みもと)にましまして、 | 師仏につかえまししとき | 世自在王のみもとにて |
覩見諸仏浄土因 | 諸仏の浄土の因、 | 人の心とその業(わざ)を | 諸仏浄土の因(もと)たずね |
国土人天之善悪 | 国土人天の善悪を覩見して、 | きよめん道をみそなわし | 人天(ひと)のよしあしみそなわし |
建立無上殊勝願 | 無上殊勝の願を建立し、 | ここにこよなき願を立て | すぐれし願を建てたまい |
超発希有大弘誓 | 希有の大弘誓を超発せり。 | 世を済(すく)わんと誓いたり | まれなる誓いおこします |
五劫思惟之摂受 | 五劫、これを思惟して摂受す。 | ふかき思いを弥陀の名に | ながき思惟の時へてぞ |
重誓名声聞十方 | 重ねて誓うらくは、名声十方に聞こえんと。 | おさめて四方(よも)にきこえしむ | この願えらび取りませり |
普放無量無辺光 | あまねく、無量・無辺光、 | さわりなくまたならびなき | かさねてさらに誓うらく |
無碍無対光炎王 | 無碍・無対・光炎王、 | 光不断にてらしてぞ | 我が名よひろく聞えかし |
清浄歓喜智慧光 | 清浄・歓喜・智慧光、 | 貪欲(むさぼり)きよめんみひかりと | 十二のひかり放ちては |
不断難思無称光 | 不断・難思・無称光、 | 瞋恚(いかり)なごむる喜びと | あまたの国を照らします |
超日月光照塵刹 | 超日月光を放って、塵刹を照らす。 | 愚痴(おろか)をやぶる御智慧に | 生きとしいくるものすべて |
一切群生蒙光照 | 一切の群生、光照を蒙る。 | ものみな恵みうけまつる | このみひかりのうちにあり |
本願名号正定業 | 本願の名号は正定の業なり。 | 誓いの名聲を身にうけて | 本願成就のそのみ名を |
至心信楽願為因 | 至心信楽の願を因とす。 | 大悲のこころいただけば | 信ずるこころひとつにて |
成等覚証大涅槃 | 等覚を成り、大涅槃を証することは、 | 智慧の眼をひらきえて | ほとけのさとりひらくこと |
必至滅度願成就 | 必至滅度の願成就なり。 | 涅槃のさとりに至るなり | 願い成りたるしるしなり |
如来所以興出世 | 如来、世に興出したまうゆえは、 | 佛(ほとけ)のみむね説かんとて | 救主世尊は弥陀佛の |
唯説弥陀本願海 | ただ弥陀本願海を説かんとなり。 | 釈迦はこの世に出でましぬ | 誓い説かんと生(あ)れたもう |
五濁悪時群生海 | 五濁悪時の群生海、 | にごりになやむ同朋(はらから)よ | にごりの世にしまどうもの |
応信如来如実言 | 如来如実の言を信ずべし。 | まことの御言(みこと)うけまつれ | おしえのまこと信ずべし |
能発一念喜愛心 | よく一念喜愛の心を発すれば、 | ひとたび信をおこしなば | 信心ひとたびおこりなば |
不断煩悩得涅槃 | 煩悩を断ぜずして涅槃を得るなり。 | さわりのままに徳となる | 煩悩(なやみ)を断たで涅槃(すくい)あり |
凡聖逆謗斉回入 | 凡聖、逆謗、ひとしく回入すれば、 | もろびと名聲(みな)に帰しぬれば | 水のうしおとなるがごと |
如衆水入海一味 | 衆水、海に入りて一味なるがごとし。 | めぐみの海にとけ合わん | 凡夫とひじり一味なり |
摂取心光常照護 | 摂取の心光、常に照護したまう。 | 大御光(おおみひかり)に照らされて | 摂取(すくい)のひかりあきらけく |
已能雖破無明闇 | すでによく無明の闇を破すといえども、 | 疑いの暗(やみ)晴れたれど | 無明(うたがい)の闇晴れ去るも |
貪愛瞋憎之雲霧 | 貪愛・瞋憎の雲霧、 | 愛と憎みの雲霧(くもきり)は | まどいの雲は消えやらで |
常覆真実信心天 | 常に真実信心の天に覆えり。 | 常に信心(まこと)の空をおおう | つねに信心(まこと)のそら覆う |
譬如日光覆雲霧 | よし雲霧(くもきり)はへだつとも | よし日の雲に隠るとも | |
雲霧之下明無闇 | 暗(やみ)のあらぬぞとおとけれ | 下に闇なきごとくなり | |
獲信見敬大慶喜 | その信心(まこと)獲しよろこびに | 信心よろこびうやまえば | |
即横超截五悪趣 | 迷いの夢もさめぬべし | まよいの道は裁ちきられ | |
一切善悪凡夫人 | われら凡夫もみ佛の | ほとけの誓い信ずれば | |
聞信如来弘誓願 | 願いにかなう身となれば | いとおろかなるものとても | |
仏言広大勝解者 | 智慧あるものとよびたまい | すぐれし人とほめたまい | |
是人名分陀利華 | 白蓮華(びゃくれんげ)よとほめたもう | 白蓮華(びゃくれんげ)とぞたたえます | |
弥陀仏本願念仏 | されど佛(ほとけ)の本願は | 南無阿弥陀仏のみおしえは | |
邪見憍慢悪衆生 | よこしまにしてほこる身に | おごり・たかぶり・よこしまの | |
信楽受持甚以難 | うけたもたんはいとかたし | はかろう身にて信ぜんに | |
難中之難無過斯 | かたきなかにもなおかたし | 難(かた)きなかにもなおかたし | |
印度西天之論家 | 印度・中国・日本と | 七高僧はねんごろに | |
中夏日域之高僧 | 世々にひじりの出でまして | 釈迦のみこころあらわして | |
顕大聖興世正意 | 釈迦のみこころうけ伝え | 弥陀の誓いの正機(めあて)をば | |
明如来本誓応機 | 弥陀の誓いを明かしけり | われらにありとあかします | |
釈迦如来楞伽山 | 世尊はかねて世の後に | 楞伽の山に釈迦説けり | |
為衆告命南天竺 | 龍樹となのるひじりいで | 南天竺に比丘ありて | |
龍樹大士出於世 | 邪見を破り大乗の | よこしまくじき真実(まこと)のべ | |
悉能摧破有無見 | こよなき法を説きひろめ | 安楽国にうまれんと | |
宣説大乗無上法 | 歓喜の智慧地さとらんと | みことのままにあらわれし | |
証歓喜地生安楽 | 宣(の)りし給いに応えてぞ | 龍樹大士はおしえます | |
顕示難行陸路苦 | 陸路(くがじ)の難き行かんより | 陸路(くがじ)のあゆみ難(かた)けれど | |
信楽易行水道楽 | 易き船路(ふなじ)によれよかし | 船路(ふなじ)の旅の易きかな | |
憶念弥陀仏本願 | 弥陀の願いを念じなば | 弥陀の誓いに帰しぬれば | |
自然即時入必定 | おのずからなる道あらん | 不退のくらい自然なり | |
唯能常称如来号 | 慈悲(めぐみ)憶(おも)いて常にただ | ただよくつねにみ名となえ | |
応報大悲弘誓恩 | 名号(みな)称えよとのべましぬ | ふかきめぐみにこたえかし | |
天親菩薩造論説 | ひじり天親論を説き | 天親菩薩論を説き | |
帰命無碍光如来 | 無碍の光に帰したまい | ほとけのひかり仰ぎつつ | |
依修多羅顕真実 | 経のまことに応えてぞ | おしえのまことあらわれて | |
光闡横超大誓願 | 弥陀の誓願(ちかい)をたたえつつ | 弥陀の誓いをひらきます | |
広由本願力回向 | その願力に賜われる | 本願力のめぐみゆえ | |
為度群生彰一心 | 一心のむね彰わしぬ | ただ一心の救いかな | |
帰入功徳大宝海 | 名号(みな)の功徳に帰しぬれば | ほとけのみ名に帰してこそ | |
必獲入大会衆数 | かならず聖(ひじり)のかずに入る | 浄土の聖衆(ひと)のかずに入れ | |
得至蓮華蔵世界 | 永遠(とわ)のみくにに至りなば | 蓮華(はちす)の国にうまれては | |
即証真如法性身 | やがて真如(まこと)を證(さと)りえて | 真如のさとりひらきてぞ | |
遊煩悩林現神通 | 生死(まよい)の園に遊びては | 生死の薗にかえりきて | |
入生死園示応化 | 応化自在の身とならん | まよえる人を救うなり | |
本師曇鸞梁天子 | 梁の天子にひじりよと | 曇鸞大師徳たかく | |
常向鸞処菩薩礼 | あがめられたる曇鸞は | 梁の天子にあがめらる | |
三蔵流支授浄教 | 流支(るし)の教えにみちびかれ | 三蔵流支にみちびかれ | |
焚焼仙経帰楽邦 | 仙経焼きて道に入る | 仙経すてて弥陀に帰す | |
天親菩薩論註解 | ひじり天親の御言(みこと)うけ | 天親の論釈しては | |
報土因果顕誓願 | 浄土は誓願(ちかい)によると説き | 浄土にうまるる因も果も | |
往還回向由他力 | 往くも還るも願力に | 往くも還るも他力ぞと | |
正定之因唯信心 | 賜わる信とのべたもう | ただ信心をすすめけり | |
惑染凡夫信心発 | その信あらば仮の世に | まどえる身にも信あらば | |
証知生死即涅槃 | はなれぬ永遠(とわ)の光みて | 生死(まよい)のままに涅槃(すくい)あり | |
必至無量光明土 | かならず浄土にうまれては | ひかりの国にいたりては | |
諸有衆生皆普化 | もの皆すくう身とならん | あまたのひとを救うべし | |
道綽決聖道難証 | 道綽 聖道難(かた)しとて | 道綽禅師あきらかに | |
唯明浄土可通入 | ひとえに浄土の門ひらき | 聖道・浄土の門(かど)わかち | |
万善自力貶勤修 | 自力の諸善おとしめて | 自力の善をおとしめて | |
円満徳号勧専称 | ただ念仏をすすめつつ | 他力の行をすすめつつ | |
三不三信誨慇懃 | 信疑のおしえねんごろに | 信と不信をんんごろに | |
像末法滅同悲引 | 末の世に泣く罪人(つみびと)も | 末の世かけておしえます | |
一生造悪値弘誓 | 弥陀のちかいに値(あ)いぬれば | 一生悪を造るとも | |
至安養界証妙果 | 彼岸にいたるとさとしけり | 弘誓に値(あ)いて救わるる | |
善導独明仏正意 | 善導 佛意をあらわして | 善導大師ただひとり | |
矜哀定散与逆悪 | 善(よ)きも悪(あ)しきもあわれみつ | 釈迦の正意をあかしてぞ | |
光明名号顕因縁 | 光と名号(みな)を本願の | 自力の凡夫あわれみて | |
開入本願大智海 | 智慧に導く縁と説く | ひかりとみ名の因縁(いわれ)説く | |
行者正受金剛心 | われら金剛の信をえて | 誓いの海に入りぬれば | |
慶喜一念相応後 | 一念みむねにかないなば | 信をよろこぶ身となりて | |
与韋提等獲三忍 | 韋提と等しきよろこびに | 韋提のごとく救われつ | |
即証法性之常楽 | 永遠(とわ)のたのしみさとるべし | やがてさとりの花ひらく | |
源信広開一代教 | 源信ひろく教きわめ | 源信和尚弥陀に帰し | |
偏帰安養勧一切 | ひとえに浄土を勧めけり | おしえかずあるそのなかに | |
専雑執心判浅深 | 諸善はこころ浅しとし | 真実報土(まことのくに)にうまるるは | |
報化二土正弁立 | まことの国の道ひらく | ふかき信にぞよると説く | |
極重悪人唯称仏 | ただ名号(みな)をよべもろ人よ | 罪の人びとみ名をよべ | |
我亦在彼摂取中 | 悩みに光みえずとも | われもひかりのうちにあり | |
煩悩障眼雖不見 | 大悲ものうきことなくて | まどいの眼には見えねども | |
大悲無倦常照我 | 常にわが身をてらすなり | ほとけはつねに照します | |
本師源空明仏教 | 本師源空あらわれて | 源空上人智慧すぐれ | |
憐愍善悪凡夫人 | われら凡夫をあわれみつ | おろかなるものあわれみて | |
真宗教証興片州 | 名号(みな)のまことをこの国の | 浄土真宗おこしては | |
選択本願弘悪世 | この世に弘(ひろ)く説きましぬ | 本願念仏ひろめます | |
還来生死輪転家 | 流転の暗路(やみじ)はなれぬは | まよいの家にかえらんは | |
決以疑情為所止 | ただ疑いのあればなり | 疑(うたご)う罪のあればなり | |
速入寂静無為楽 | 無為のみやこに入らんには | さとりの国にうまるるは | |
必以信心為能入 | ただ信のみとのべたもう | ただ信心にきわまりぬ | |
弘経大士宗師等 | 弘経の大士・宗師等、 | ああ三国のひじりたち | 七高僧はあわれみて |
拯済無辺極濁悪 | 無辺の極濁悪を拯済したまう。 | はてなき濁りの世を救う | われらをおしえすくいます |
道俗時衆共同心 | 道俗時衆、共に同心に、 | さらば同朋(はらから)もろともに | 世のもろびとよみなともに |
唯可信斯高僧説 | ただこの高僧の説を信ずべし、と。 | ただそのみ言葉信ずべし | このみさとしを信ずべし |