このページでは、親鸞が仰いだ七高僧について詳しく取り上げていきます。
と言う方にも分かってもらえるよう出来るだけ平易な言葉でまとめています。
七高僧の概要
問 七高僧とは何ですか?
はるか昔の釈尊から念仏の教えを親鸞まで伝えてくださったこの7名を親鸞はあつく仰いぎ、事績(伝記や思想)を「高僧和讃」や『正信偈』の「依釈段」など随所に書き留め、今を生きる私たちに伝えています。
問 聖教ではどのように表現されていますか?
たとえば、以下のような表現があります。
- 三朝浄土の大師等(『浄土和讃』三朝=インド・中国・日本)
- 印度西天之論家 中夏日域之高僧(『教行信証』「行巻」内『正信偈』印度西天=インド地域, 中夏=中国, 日域=日本)
- 西蕃月支の聖典 東夏日域の師釈(『教行信証』「総序」西蕃月支=インド地域, 東夏=中国, 日域=日本)
問 具体的には誰ですか?
以下の表に示した七名です。
名前 | 生没年 | 発揮 | 主著 | |
第一祖 | 150頃~250頃 | 難易二道 | 『十住毘婆沙論』 | |
第二祖 | 400頃~480頃 | 一心帰命 | 『浄土論』 | |
第三祖 | 476~542 | 自力他力 | 『浄土論註』 | |
第四祖 | 562~645 | 聖浄二門 | 『安楽集』 | |
第五祖 | 613~681 | 正雑廃立 | 『観経疏』 | |
第六祖 | 942~1017 | 専雑得失 | 『往生要集』 | |
第七祖 | 1133~1212 | 選択称名 | 『選択集』 | |
(参考) | 1173~1263 | 『教行信証』 |
問 七高僧はどう選定されたのですか?
七高僧には上表のとおり、いずれも著作と独自の思想があることが特徴的です。
第一祖「龍樹」について
問 龍樹どはどんな人物ですか?
龍樹(150頃~250頃)は南インド生まれの人物で、サンスクリットではNāgārjuna(ナーガールジュナ)といいます。
大乗仏教の祖としてひろく知られています。『十住毘婆沙論』を著しました。
問『十住毘婆沙論』とは何ですか?
龍樹が著した『十地経』(『華厳経』の一部)の注釈書です。
その中の「易行品第五」で、不退転地(阿惟越致)へ至る菩薩道に難行道と易行道があることを明らかにした。これを「難易二道」いいます。
浄土真宗では、この「易行道」に注目します。
第二祖「天親」について
問 天親とはどのような人物ですか。
天親または世親(400頃~480頃)はガンダーラ―(現在のパキスタンの地域)生まれの人物です。
『無量寿経優婆提舎願生偈』(通称『浄土論』or『往生論』と呼ばれる)を著しました。
問『浄土論』とは何ですか?
正式には『無量寿経優婆提舎願生偈』といい、前半は願生偈、後半は長行で構成されています。曇鸞はこの願生偈の部分を「総説分」、長行の部分を「解義分」と明らかにされました。
冒頭で「世尊(釈尊のこと)、我一心に、尽十方無碍光如来(阿弥陀仏のこと)に帰命す。」と一心専念をあらわしました。
法然はこの論を『選択集』の中で浄土三部経とあわせて三経一論として大切にしました。
第三祖「曇鸞」について
問 曇鸞とはどのような人物ですか。
三、曇鸞(タロンアン)
当時の中国は南北朝時代。
四論と仏性について研究、のち『大集経』60巻の注釈に専念し、病に倒れる。不老不死を求めて南朝へ仙経を授けられる。しかし、帰路で菩提流支三蔵と出会い、『観無量寿経』を授けられ、仙経を焼き捨て、浄土教に帰した。
龍樹の難易二道の思想を背景として、天親の『浄土論』を註解して『無量寿経優婆提舎願生偈註』(『浄土論註』or『往生論註』)を著した。自力他力ということを明らかにした。
一般的には東派では『浄土論註』、西派では『往生論註』と呼ばれることが多い。
この『浄土論註』は上下巻に分かれ、上巻では浄土論前半の「総説分」の部分の注釈を、下巻では浄土論後半の「解義分」の部分の注釈をしています。
第四祖「道綽」について
問 道綽とはどのような人物ですか。
四、道綽(タオチュオ)
道綽(562~645)は中国生まれの人物です。
『安楽集』を著した。仏教を聖道門と浄土門の二つにわかち、浄土門に帰した。
第五祖「善導」について
問 善導とはどのような人物ですか。
五、善導(シャンタオ)
善導(613~681)は中国生まれの人物です。
従来の『観経』理解を改め『観経疏』を著した。古今楷定した。
第六祖「源信」について
問 源信とはどのような人物ですか。
六、源信(恵心僧都)
源信(942~1017)は日本生まれの人物です。
日本に浄土教を普及させた。『往生要集』を著した。
第七祖「源空」について
問 源空とはどのような人物ですか。
七、源空(法然)
源空(1133~1212)は日本生まれの人物です。
親鸞の師。『選択本願念仏集』を著した。ちなみに、読みぐせで、浄土宗では「せんちゃくほんがん - 」、浄土真宗では「せんじゃくほんがん - 」と読みかたに違いがある。